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[ GEN h · 任天堂 ]

ニンテンドー 3DS

ニンテンドー 3DS(CTR-001 アクアブルー)、2011 年 2 月日本発売、25,000 円。**世界初の裸眼立体視機能搭載携帯機**——ただし 3D スライダーで無効化可能、2DS 系派生機種ではこの機能自体を完全に削除した(多くのプレイヤーが 3D 機能をオフにしているという事実への対応)。
© Evan-AmosSourcePD

画像アーカイブ

ニンテンドー 3DS LL(2012)——画面サイズ 90% 拡大、バッテリー駆動時間延長。年齢層が高めのプレイヤー向けに投入された旗艦機種で、最終的に 3DS ファミリで最も売れた SKU となった。
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ニンテンドー 2DS(2013)——折りたたみ式ではない一体型フォームファクタを採用し、3D 機能を完全に削除した SKU。$129 の児童向け廉価モデルとして投入され、大多数のプレイヤーが 3D 機能を使用していなかった事実を実質的に認める内容だった。
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ハードウェア仕様

メーカー
任天堂
CPU
ARM11 デュアルコア @ 268 MHz + ARM9 @ 134 MHz
ディスプレイ
**裸眼立体視 3D** 上画面 800×240(視差分割で片眼 400×240)+ 下画面 320×240 タッチ
RAM
128 MB(メイン)+ 6 MB(VRAM、FCRAM 共有)
メディア
ゲームカード + DS 後方互換 + ダウンロード版
ネットワーク
Wi-Fi + すれちがい通信 / いつの間に通信(パッシブネットワーク)
操作
2 画面 + タッチペン + サークルパッド(アナログ)+ マイク + ジャイロ + 加速度センサー

発売日

日本
2011-02-26
北米
2011-03-27
欧州
2011-03-25

累計販売台数

公式数値
7,594 万台(任天堂累計、3DS / 3DS LL / 2DS / New 3DS / New 3DS LL / New 2DS LL 合算)
コミュニティ合意
前代 DS の 1 億 5,402 万に大きく届かず、スマートフォンゲームの急成長が主因

任天堂 2020 年累計(生産終了時確定値)

派生機種

ニンテンドー 3DS CTR-001

2011

初代裸眼 3D モデル

アクアブルー / コスモブラックの初期型。高価格、裸眼 3D、初期ソフト不足、眼精疲労の議論をすべて背負った機種であり、発売半年後の緊急値下げへ直結した。

ニンテンドー 3DS LL / 3DS XL

2012

大画面主力モデル

画面サイズを約 90% 拡大し、バッテリーと持ちやすさを改善。日本では LL、海外では XL と呼ばれ、3DS を初期の技術デモ的印象から日常用の主力携帯機へ押し上げた。

ニンテンドー 2DS FTR-001

2013

3D なし廉価モデル

折りたたみ構造と裸眼 3D を廃止し、児童向けの低価格一体型として投入された。2DS は、3DS ファミリーの本質が 3D 機能ではなく、ソフト資産と DS 後方互換にあることを示した。

New ニンテンドー 3DS / New 3DS LL

2014 JP / 2015 海外

性能強化型中期改良

CPU 強化、C スティック、ZL/ZR、amiibo 用 NFC、顔追跡による 3D 視野改善を追加。一部 New 専用ソフトも存在し、同一世代内に性能差を生んだ珍しい改良機となった。

New ニンテンドー 2DS LL / New 2DS XL

2017

3D なし最終モデル

New 系の性能、C スティック、amiibo、折りたたみ大画面を残しつつ、立体視を完全に削除した終盤機種。3DS ファミリーの最後は、裸眼 3D ではなくライブラリの強さで売られた。

拡張スライドパッド

2011 JP / 2012 海外

右アナログ追加アタッチメント

『モンスターハンター 3G』『バイオハザード リベレーションズ』などに向けて第 2 アナログと追加ショルダーを補う外付け周辺機器。New 3DS の C スティックは、この需要を本体側へ取り込んだものだった。

2011 年 2 月 26 日、任天堂はニンテンドー 3DS を日本で発売した。価格 25,000 円。世界初の量産型・裸眼立体視機能搭載携帯ゲーム機である——上画面はパララックスバリア方式により 3D 眼鏡不要で立体表示を実現した。3DS は『アバター』(2009)が引き起こした 3D 映画ブーム、続く 2010 年 LG/Samsung による 3D テレビ攻勢の時代に、任天堂が応答した製品である——しかしこのタイミング設定は、後に戦略的な誤算であったと判明する。

技術仕様面では 3DS は DS のデュアルスクリーン構造を継承(上 800×240、ただし 3D パララックスのため実効片目あたり 400×240、下 320×240 タッチ)、ARM11 デュアルコア + ARM9(後者は DS 用 CPU を後方互換用に温存)、128 MB RAM、サークルパッド・アナログスティック(DS にはなかった)、ジャイロセンサ・加速度センサ、すれちがい通信/いつの間に通信。スペックは大幅に向上した——しかし 25,000 円の価格設定と、裸眼 3D 表示が一部のユーザーに眼精疲労を引き起こした問題が重なり、初期販売は深刻に低迷した。

2011 年 8 月、任天堂史上珍しい緊急値下げ救済策——3DS 発売からわずか半年後、岩田聡社長自らが世界規模で 30-40% の値下げを発表した(日本 25,000 → 15,000 円、北米 $250 → $170)。任天堂は「3DS の発売時価格は高すぎ、ソフトラインも不足していた」という戦略的失敗を公式に認め、初期購入者には GBA/NES バーチャルコンソール 20 タイトルを無料贈呈して補償した。任天堂が自社のハードウェア価格設定の失敗を主体的に認め、早期購入者に補償を行った唯一の事例である。

より深刻な問題はスマートフォンだった。2011 年時点で iPhone は既に 4 歳、Android は 3 歳——『Angry Birds』(2009)、『Cut the Rope』(2010)、『Temple Run』(2011)といったカジュアル系モバイルゲームの波が、かつて『脳トレ』や『nintendogs』が DS で取り込んでいた「ビデオゲームをしない層」をすでに吸収済みだった。任天堂は 3DS で DS 期のシニア層・ライト層獲得の成功を再現することができなかった——その層は iPhone で Candy Crush をプレイしていたからである

2DS(2013)と New 2DS LL(2017)派生機では 3D 機能そのものが完全に削除された——任天堂は後に、大半のプレイヤーが 3D スライダーをオフのままにしていた事実(眼精疲労、パララックス幅の狭さ)を実質的に認めた。3DS は「3D 革命携帯機」から実質的に「DS の上位 R 系列」へとポジショニングが変質した。製品ラインの末期に投入された New 2DS LL には立体視機能が一切ないが、3DS ライブラリ全体がそのまま動作した。

ソフトウェア面では、3DS は任天堂第一線タイトルの主戦場であり続けた。『ポケットモンスター X・Y』(2013)はポケットモンスター本編シリーズ初のネイティブ 3D 作品で、累計 1,648 万本販売。『モンスターハンター 4』(カプコン、2013)はアジア圏で「すれちがいモンスターハンター」を地下文化として確立した。『ファイアーエムブレム 覚醒』(インテリジェントシステムズ、2012)は任天堂が打ち切り寸前まで追い詰めていたシリーズを救済し、看板タイトルへと復帰させた——後の『ファイアーエムブレム ヒーローズ』(モバイル)、『ファイアーエムブレム 風花雪月』(スイッチ)はいずれも『覚醒』復活劇の延長線上にある。『とびだせ どうぶつの森』(2012)は累計 1,287 万本販売。『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』(2011)は N64 の名作を 3D スライダーで新たな次元へ蘇生させた。

アジア圏では、3DS の「マジコン黄金時代」は DS 時代の延長として続いた——Sky3DS+ や Gateway 3DS といったフラッシュカートが中華圏プレイヤーに ROM 共有文化を継続させた——しかし 3DS の暗号化は DS よりも厳しく、フラッシュカート側は任天堂のシステム更新に追随しきれず、2014-2017 年はマジコン界隈と任天堂ファームウェア更新との猫鼠ゲームが活発化した時期である。

商業的に 3DS は累計 7,594 万台——前代 DS(1.54 億台)の半分にも届かない規模だが、それでも PSP の 8,200 万台よりは少し下回る程度。生産期間 2011-2020、9 年間3DS は「スマートフォンが既に主流の娯楽プラットフォームとなった環境下で、任天堂携帯機部門が試みた最後の独立携帯機」であった——次世代では Switch のハイブリッド据置/携帯路線へと舵を切り、「純粋な携帯機」というカテゴリがモバイルゲームによって食い尽くされたことを公式に認めた形である。

代表作

  • ポケットモンスター X・Y(ゲームフリーク、2013、**シリーズ初のフル 3D 対応**)
  • とびだせ どうぶつの森(任天堂、2012)
  • ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D(任天堂、2011)
  • ファイアーエムブレム 覚醒(インテリジェントシステムズ、2012、シリーズ復活作)
  • モンスターハンター 4(カプコン、2013、アジア圏で大ヒット)