[ GEN 7 · ソニー・コンピュータエンタテインメント ]
プレイステーション 3(PS3)
画像アーカイブ
ハードウェア仕様
- メーカー
- ソニー・コンピュータエンタテインメント
- CPU
- Cell Broadband Engine(IBM/ソニー/東芝)@ 3.2 GHz — 1 PPE + 7 SPE のヘテロジニアスマルチコア
- GPU
- NVIDIA RSX Reality Synthesizer @ 550 MHz
- RAM
- 256 MB XDR(主)+ 256 MB GDDR3(VRAM)
- ストレージ
- 20 / 60 / 80 / 160 / 250 / 320 / 500 GB HDD 内蔵(交換可能)
- 解像度
- 480p 〜 1080p(家庭用機初のネイティブ 1080p 出力)
- 音源
- 7.1 LPCM / Dolby TrueHD / DTS-HD
- メディア
- Blu-ray Disc(25 / 50 GB)— BD 規格採用の家庭用機第 1 号
- ネットワーク
- Gigabit Ethernet + 802.11 b/g 内蔵(CECHA/B/E)
発売日
- 日本
- 2006-11-11
- 北米
- 2006-11-17
- 欧州
- 2007-03-23
累計販売台数
- 公式数値
- 8,740 万台(Sony SIE 公表生涯数値)
- コミュニティ合意
- 日本 1,030 万 / 北米 3,500 万 / 欧州・他 4,210 万
ソニー・インタラクティブエンタテインメント公式業績ページ
派生機種
PS3 Fat CECHA / CECHB
2006初期高コスト後方互換モデル
20GB / 60GB の初期型は PS2 ハードウェア互換、多数の USB、カードリーダー、光沢ブラック筐体を備えていた。初期 PS3 の「全部入り」思想を最もよく示す一方、1 台ごとの逆ザヤを説明する機種でもある。
後期 PS3 Fat CECHG 以降
2007-2008互換削減・コストダウン型
後期の厚型は Emotion Engine / Graphics Synthesizer や一部 I/O を段階的に削除し、PS2 互換はハード、半ソフト、廃止へと縮小した。発売時仕様が高価すぎたことを、ソニーが初めて本格的に止血し始めた改訂である。
PS3 Slim CECH-2000 / 3000
2009世代中盤の回復モデル
小型化、低消費電力化、$299 への値下げ、ブランド表記の PLAYSTATION 3 から PS3 への変更を伴う再設計機。Blu-ray、PSN、後期ファーストパーティ群を適正価格で市場に届けた、PS3 復調の要だった。
PS3 Super Slim CECH-4000
2012スライドドア式長期販売モデル
スライド式ディスクカバーと低コスト筐体により、末期販売と新興市場向けの製造を支えた。PS3 の巻き返しが、最終的にはコスト削減と成熟したソフト資産に支えられていたことを示す。
PlayStation Move / PlayStation Eye
2010モーション・カメラ拡張
Wii の体感ブームへのソニー側の回答で、発光球コントローラと PlayStation Eye によるトラッキングを組み合わせた。PS3 の運命を変えるほどではなかったが、後の PS VR コントローラ系譜にもつながる。
PS3 はソニーが家庭用機ハードウェア事業で最も自滅に近づいた世代——同時にこの産業史上最も劇的な後半戦の巻き返しでもある。2006 年 11 月 11 日、PS3 は日本で発売された。60GB 版 59,980 円、北米版 $599——PS2 の発売価格の倍、Xbox 360 より $200 高い。社内では「二重の博打」と呼ばれた——Cell プロセッサに賭け、Blu-ray に賭ける。両方とも極めて野心的で、両方ともソニーのゲーム事業をほぼ破壊しかけた。
第一の博打は Cell Broadband Engine ——IBM、ソニー、東芝が共同設計したヘテロジニアスマルチコア CPU(PowerPC PPE 1 基 + SPE ストリームプロセッサ 7 基)で、スーパーコンピュータ級の並列演算を家庭用機に押し込むことを目指した。理論性能は規格外(単精度 218 GFLOPS)。だが開発者にとって過酷なまでに扱いにくかった——SPE はキャッシュを持たず、DMA を手動スケジューリングする必要があり、メモリモデルは PC 開発者の直感をことごとく裏切った。結果として 2006-2009 年、マルチプラットフォームのサードパーティタイトルは PS3 上で Xbox 360 版より明らかに劣る挙動を見せた。同じ Call of Duty、同じ GTA IV、同じ BioShock——PS3 版はフレームレートが落ち、解像度が低く、ロード時間が長かった。Cell は工学の傑作であり、商業的には惨事だった。
第二の博打は Blu-ray だった。2005-2008 年は高密度光ディスク規格戦争——ソニー陣営の Blu-ray 対、東芝・マイクロソフト陣営の HD-DVD。ソニーの戦略は、全 PS3 本体に Blu-ray ドライブを標準内蔵することだった。2006 年の単体 Blu-ray プレーヤーは $1,000 超——PS3 は実質的にその再生機能を「無料で」配った。PS3 が累計 100 万台を売り上げる前から、世界最大の Blu-ray プレーヤー普及台数となっていた。2008 年 1 月、Warner Bros. が Blu-ray 独占支持を発表、東芝は 2 週間後に HD-DVD 撤退を発表——規格戦は終結した。以降 20 年以上、ホームビデオ規格の主導権はソニー陣営に残り続けている。Blu-ray 規格戦の勝利は、どのゲーム販売数字よりも長く深い PS3 最大の遺産である。
しかし発売初期 3 年は完全な商業災害だった。PS3 は 2006-2009 年、Xbox 360 に大きく遅れ続けた。ソニーはこの 3 年間で約 50 億ドルの損失を計上(PS3 1 台 $599 の販売価格に対し、製造原価は約 $850)。マイクロソフトは『Halo 3』、『Gears of War』、Xbox Live で北米と欧州のコアゲーマー層を 360 に固定し、PS2 が日本国内で築いた牙城すら一時危ぶまれた。
巻き返しはファーストパーティの独占ソフトから来た。ノーティドッグ——『クラッシュ・バンディクー』(PS1)、『Jak & Daxter』(PS2)の子供向けスタジオ——が業界で最も重要なナラティブ・スタジオへと変貌した。『アンチャーテッド』三部作(2007-2011)は現代の映画的アクション・アドベンチャーのテンプレートを確立、2013 年の**『The Last of Us』は終末劇を題材に家庭用機のゲームを劇映画批評の領域へと押し上げた。Santa Monica Studio の『ゴッド・オブ・ウォー』PS3 三部作、Media Molecule の『リトルビッグプラネット』、コナミ・小島秀夫の『MGS4』**、フロム・ソフトウェアの『Demon’s Souls』(2009、ソウルライク・ジャンル全体の静かなる起源)が後期の商業回復を牽引した。
累計販売は 8,740 万台——PS2 の 1 億 6,000 万台から 45% 下落、Xbox 360(8,500 万台)とほぼ拮抗。**PS3 はソニー 30 年の家庭用機史の中で、初めて「明確な勝利のない世代」**となった。しかし Blu-ray の勝利、ノーティドッグの変貌、PSN オンラインサービスの成熟が、PS4 の 1 億 1,750 万台での反転攻勢の基盤となる。PS3 はソニーが払った最も痛い授業料であり、PS4 黄金期の前払い金だった。
代表作
- アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(Naughty Dog、2009)
- The Last of Us(Naughty Dog、2013)
- メタルギアソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(コナミ、2008)
- Demon's Souls(フロム・ソフトウェア、2009)
- リトルビッグプラネット(Media Molecule、2008)