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[ GEN 7 · 任天堂 ]

Wii(任天堂)

Wii、2006 年 12 月 2 日日本発売、25,000 円。テレビボードの隙間に収まるサイズ、**意図的に HD 非対応**、しかしコントローラには赤外線ポインタ + 加速度センサという 2006 年時点での革命を搭載——任天堂のスペック競争への答えは「降りる」ことだった。
© Evan-AmosSourcePD

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Wii ミニ(2012 年 12 月カナダ先行、2013 年北米・欧州)——赤黒配色、トップローディング光ディスク、ゲームキューブ互換廃止、SD カード・オンライン接続を削除——史上最も簡素化された Wii の派生機で、$99 米ドル。Wii U 発売と同時期に投入された任天堂の「**廉価版リイシュー**」という奇異な戦略の産物。
© Evan-AmosSourcePD

ハードウェア仕様

メーカー
任天堂
CPU
IBM PowerPC "Broadway" @ 729 MHz(ゲームキューブ CPU の改良版)
GPU
ATI "Hollywood" @ 243 MHz
RAM
88 MB(24 MB 1T-SRAM + 64 MB GDDR3)
解像度
最大 480p(**意図的に HD 非対応**)
音源
AI DSP — 32 ch
メディア
Wii オプティカルディスク(標準 DVD ベース 4.7 GB)
ネットワーク
802.11 b/g Wi-Fi 内蔵 + Bluetooth(コントローラ用)
コントローラ
Wii リモコン — 赤外線ポインタ + 3 軸加速度センサ(2006 年家庭用機革命)

発売日

日本
2006-12-02
北米
2006-11-19
欧州
2006-12-08

累計販売台数

公式数値
1 億 163 万台(任天堂 2021 累計)
コミュニティ合意
日本 1,275 万 / 北米 4,154 万 / 欧州・他 4,734 万

任天堂 2021 年 PS30 周年発表前累計

派生機種

Wii RVL-101

2011

GC 互換廃止・横置き型

外観は初期型に近いが、GC コントローラ端子、メモリーカード、GC ディスク互換を削除し、横置きを前提にした改訂機。Wii が低コストの家庭向け入門機へ移行した最初の明確なサインである。

Wii Mini RVL-201

2012 CA / 2013 EU

廉価長期販売モデル

赤黒配色、トップローディング光ディスク、Wi-Fi・SD カード・GC 互換の削除により $99 まで価格を下げたモデル。Wii をほぼディスク専用の入門玩具へ簡素化した、Wii U 同時期の奇妙な長尾戦略だった。

Wii MotionPlus / Wii Remote Plus

2009 / 2010

高精度モーション拡張

ジャイロセンサを追加し、剣振り、投球、スイングの精度を高めた周辺機器で、後に Wii リモコンプラスへ統合された。『Wii Sports Resort』と『スカイウォードソード』はこの精度改善に強く依存している。

Wii Balance Board

2007

フィットネス・生活周辺機器

『Wii Fit』と組み合わせ、体重、重心、ヨガ、トレーニングを家庭のリビングへ持ち込んだ。Wii を家族、高齢者、リハビリ、フィットネス文化へ広げた重要なハードである。

Wii は任天堂のスペック戦争時代における革命的な離脱——そしてテクノロジー業界における「ブルーオーシャン戦略」の最も成功した実装である。NINTENDO64、ゲームキューブと続いた対 PlayStation 連敗の反省を経て、2002 年に社長を引き継いだ 岩田聡(HAL 研究所出身のエンジニア社長)は研究開発部門に明確な指示を出した——「ソニーとのスペック競争には勝とうとするな。ゲームをしない人をプレイヤーに変える方法を考えろ」。社内ではこの戦略を「ブルーオーシャン戦略」(W. Chan Kim の同名ベストセラー経営書から借用)と呼んでいた——血みどろの競争(レッドオーシャン)から離脱し、誰も開拓していない市場を開く。

2006 年 12 月 2 日、Wii は日本で発売された。価格 25,000 円。ハードウェアは意図的にミニマルだった——CPU はゲームキューブの Broadway をわずかにアップレートしただけ(729 MHz)、HD 出力はまったく非対応(最大 480p)、本体はテレビボードの隙間に縦置きで収まる程度の小型さ。PS3($599)と Xbox 360($399)が演算性能とグラフィックス競争に明け暮れている時に、Wii は完全に逆方向を進んだ($249)。戦略の核心は明確だった——スペック競争に費やすはずの予算を全て新しい体験に振り向ける——その新しい体験が Wii リモコンだった。

Wii リモコンは家庭用機史上最も革命的なコントローラである。赤外線ポインタと 3 軸加速度センサの組み合わせにより、プレイヤーは「振る、指す、突く、回す」という動詞そのもので画面を操作した。複雑なボタン組み合わせなし、アナログスティックの学習曲線なし——祖母が Wii リモコンを手に取り、2 回振るだけでテニスができた。この信じられないほど低い学習負担が、家庭用機産業がそれまで一度も到達していなかった市場を開いた——主婦、高齢者、家族が一緒に遊ぶ場面、フィットネスクラブ、リハビリ施設、老人ホーム

キラーアプリは**『Wii Sports』——本体同梱、5 つのスポーツミニゲーム(テニス、ボウリング、野球、ゴルフ、ボクシング)。この「無料同梱」のミニゲーム集は人類史上最も売れたゲームのひとつとなった(『Wii Sports Resort』、『Wii Sports Club』を含むシリーズ累計で 1 億本超)。Wii Sports は 2007-2010 年の世界規模の文化現象だった——米国の老人ホームはこれをリハビリ機材として導入、英国 NHS は理学療法支援として認定。翌 2007 年の『Wii Fit』**(バランス Wii ボード周辺機器との組み合わせ)はこの現象を世界的フィットネス産業へと拡張した。

任天堂のファーストパーティ・ソフトも爆発した。『スーパーマリオギャラクシー』(2007)は批評的合意で歴代最高クラスのマリオ、**『マリオカート Wii』は 3,720 万本を売り上げシリーズ第 2 位、『大乱闘スマッシュブラザーズ X』は桜井政博の対戦格闘を新たな商業高みへ押し上げ、『Wii Fit』**は「フィットネスゲーム」というジャンルそのものを発明した。

商業的成果は産業全体を驚愕させた。Wii は全世界累計 1 億 163 万台——PS3(8,740 万)と Xbox 360(8,400 万)を超え、任天堂家庭用ゲーム機史上 2 位の販売数となった(後の Switch の 1 億 4,000 万台超に次ぐ)。2008-2010 年の一時期、任天堂の利益はソニーグループ全体を上回った——「玩具メーカー」と呼ばれていた京都の会社が、垂直統合された家電帝国を超えた。

しかし Wii の成功は同時に自己破壊の種子も孕んでいた。「コアゲーマー」は Wii を子供っぽいと見なし始めた、マイクロソフトは Xbox 360 で Kinect(2010)を投入し Wii の市場を奪いに来た、HD が普及世代となるにつれて Wii の 480p 上限は時代遅れに取り残された。次世代 Wii U(2012)はブルーオーシャン戦略の延長を試みて壊滅的に失敗(1,356 万台)。2017 年の Switch でようやく、任天堂は Wii の精神(シンプルさ、家族で一緒に遊ぶ体験)と現代的なスペックの統合に成功する

Wii はテクノロジー業界における「勝てない正面戦争を戦わず、戦場そのものを再定義する」最高の典範である——絶体絶命まで追い詰められた任天堂が産み出した逆転戦略は、今もビジネススクールの教材であり続けている。そしてこの作品が証明した命題は、いまだ業界に残っている——家庭用機戦争は決して純粋なスペック戦争ではない、文化戦争である

代表作

  • Wii Sports(任天堂、2006、本体同梱・史上最も売れたゲームの一つ)
  • スーパーマリオギャラクシー(任天堂、2007)
  • ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス(任天堂、2006)
  • マリオカート Wii(任天堂、2008)
  • Wii Fit(任天堂、2007、世界的フィットネスブーム)